【開催レポ】空き家・空き店舗活用促進セミナー Vol.1

空き家・空き店舗に関して先進的な取り組みを行っている方をお招きして開催する「空き家・空き店舗活用促進セミナー 」。
第1回目である11月19日(火)の講師は、青梅市/あきる野市タウンマネージャーの國廣純子さんでした。

さすが、2013年からずっと現場に張り付いて活動をされてきた國廣さん。
現場感・臨場感あふれるお話で、あっという間の1時間となりました。

地域再生=新しいイベントづくり、ではない。

國廣さんが青梅で活動を開始した2013年当時も、『青梅宿アートフェスティバル』など来街者が多いイベントは行われていたそうですが、一方で、中心市街地には空き店舗が30以上。しかも、その多くが賃貸市場に流通していなかったそうです。

そのため、たとえお店をやりたい人が不動産会社に行ったとしても店舗を借りることが出来なかったため、まずは借りられる状態にする(空き店舗を賃貸市場に流通させる)必要があったとのこと。

また、そういった状況にも関わらず、まちの人達に危機感が少なかったため、現在のまちなか商店主の年齢層や後継者の有無についての比率を示し「20年この状態を放置すると、まちが廃墟になる可能性がある」ということを数字ベースで伝えていくことで、危機感を持ってもらうようにしていったそうです。

不動産会社が「儲からないからやらない」ことをやっていく

市街地不動産物件の課題は「住宅と店舗が併用」「土地建物の権利関係」「需要物件と供給物件のギャップ(例:飲食開業したい人が多いものの、飲食向けの物件が少ない)」であり、ギャップを1つ1つ埋めていくしかないものの、手間のかかる空き店舗の問題は、不動産会社も敬遠しがちだと。

そのため、「まちつくり会社」が不動産会社と連携して進めていくことが大事になってくるそうです。

とはいえ、賃貸物件を掘り起こせる打率は「空き店舗リストに100軒あっても、そのうちコンタクトが取れるのは20〜30軒。そこから交渉を経て最終的に貸し出してもらえたのは、最初わずか5件ほどだった」ということで、地道な粘り強いアプローチが必要にとなってきます。

SNSを活用して物件情報を発信する!

開拓できた空き店舗の見学会を企画した際、物件の魅力が伝わるようにSNSで情報発信をしていくと、人気の物件は数日で5,000人以上の人が投稿を見てくれるほどの反響があり、見学会当日にも、SNSを見てきた人が多かったそうです。

また、アキテンポ見学会も、「この物件は何平米か?」などの説明より「この場所は、どういうお店だったのか?」という物件のストーリーを重視して説明して貰うようにするなどしていった結果、少しずつマッチング=開業に繋がっていたそうです。

さらに、空き店舗の大家さんに、「開業準備中は双方の合意のもとで覚書だけはかわし、家賃をフリーにしてもらえないか」などの交渉をすることで、想いを持って出店する人の後押しをしていらっしゃるとのことでした。

そして、そういった活動を続けていった結果、「2013年4月以降の6年間で新規開業数85件、廃業数60件」というように開業数の方が大きく上回っているようです。(開業は飲食店やサービス業が多く、廃業は物販が多い)

まちづくりって??

市街地再生を効果的にする三要素とは、

  • しくみづくり
  • イメージづくり(情報発信)
  • エリアマネジメント

ということで、それら全体をコーディネートしていくために、まちの様々な立場の人同士が連携する必要があり、そうした連携の調整役として、まちづくり組織やマネジメントをする人がいることで推進しやすくなる、ということです。

そして、外に魅力的にうつる街は、若者世代も地域に残り帰って来たくなる傾向がみられるため、「魅力づくりと発信」の両輪を回し続けることが重要になってくるということでした。

質疑応答

質問:開業する人は青梅の人?それとも市外の人?また、飲食店に来る人は青梅の人?市外の人?
回答:開業する人は、生まれも育ちも青梅である人、もしくは移住して長く住んでいる人が多い。また、飲食店に来る人は、おおよそ「青梅の人8割、市外の人2割」となっている。

質問:来街者は増えた?
回答:衰退が激しい状態からのスタートなので、目に見えて増えたとは言えないが、若者や外国人など来街者の幅は広くなった。通りの賑わい的な来街者増は当面目標にしていないが、開業した店舗の売上は予想よりも堅調。

質問:専属のコーディネーターが必要か?
回答:コーディネーターの役割は誰でも兼ねられるという意味では必要ではないが、専属でない場合は、どうしても推進スピードが遅くなる。まちの衰退スピードが早い場合は、短期間に多くの時間をかけるリソース(=専属コーディネーター)が必要。

質問:このエリア(東大和市など、立川より東のエリア)は、どんな戦略でいったら良い?
回答:開業したい人はどのまちにも一定数いる。そのまちで開業したいと思う仕掛けが必要。一般的には、外向きの発信が多いと思うが、本当は内向きの発信こそ必要。青梅の場合も、青梅にいま住んでいる人に重点を置いている。

次回は12月17日(火) に開催します!!

空き家を”スナックする”会 主宰 / 合同会社パッチワークス 代表の薩川 良弥さんをお招きして行う「空き家・空き店舗活用促進セミナー Vol.2」を12月17日(火)19:30~開催します。

國廣さんとは違うアプローチで、空き家・空き店舗の活用促進に取り組んでいる薩川さんのお話、ぜひお見逃しなく!!

空き家・空き店舗活用促進セミナー Vol.2