たましん創業キックオフセミナー「うどん店で雇用をつくる!誰もが活躍できるソーシャル・インクルージョン」
「創業前にどんな準備をしてきたか?」
「集客方法はどのようにしているのか?」
「お金のやりくりは?」
身近な創業者の事例から、経営の秘訣など創業時に役立つ情報をセミナー形式で学ぶ「たましん創業キックオフセミナー」がチェレステガーデンにて開催されました。
チェレステガーデンにて9月に事業スタートをさせた「肉つけ汁うどん専門店・うさぎ屋」の小川真智子さんにお話を伺いました。
『雇用』を通して、誰もが自立し活躍できる世の中へ
創業のきっかけは?
小川さんは、PCオペレーターとして様々な企業でご活躍後、娘さんが小学校に上がるタイミングで、ご家庭との両立からしばらく専業主婦をしていました。特別支援学校に通う娘さんが高学年になり、1人で片道30分の通学が可能になった頃、障がい者の就労を支援する「継続型就労支援作業所(B型作業所)」で働き始めました。
「娘が将来どういった所で働くのか、その実際を確かめるため」にも、B型作業所での再就職を選択されたそうです。
通所する方々とコミュニケーションを取るうちに、言葉での指示は伝わらなくとも、紙に書けばスムーズに伝わる事や、明確に指示を出せば良く働いてくれる、という発見をしました。
一方、作業所からの工賃と国からの手当を合わせても、生活の自立はとても困難であることも痛感しました。
ならば、自分自身で「障がい者が自立できる場」を創るしかない、という想いに至ったそうです。
創業へ向けて
得意な料理に関することで、自立の場を創ろうと考えました。
臨機応変な場面がなるべく少なく、全ての工程を数値化して、作業工程を明確にでき、メニューは単一化されたものでないと、本当の意味での自立は図れないと、思案の結果「うどん専門店」でのチャレンジを選択しました。
うどん専門店の創業へ向けB型作業所を退職し、うどん創りの修行のために、うどん専門店(一番大好きなお店を選択されたそう!)の門を叩きました。求人募集はしていなかったものの直談判し、土日であれば来て良いと言われ、まずは土日祝日での勤務からスタートしたそうです。
希望であった厨房の担当は叶わなかったものの、厨房をチラチラのぞいたり、ホールでの人の動きを観察したり、賄いうどんの味を毎日確認し、勉強を重ねました。
いよいよ「肉付け汁うどん専門店・うさぎ屋」創業!
創業にあたり、一番苦労をしたのは「お金」。
中でも、将来的に障がい者に携わっていただくためにも必要な製麺機は大変高価なもので、資金調達は難航したそうです。
9月にうさぎ屋を開店し、目標とする売上計画にはまだ届きませんが、それでも自信を持って頑張っていこうと思えるのは、「うどんの味に絶対の自信があるから」です。
「少しでも、味への不安や、提供価値へのブレが生じたら、失敗するという感覚もある。自信を持てたもので創業することが、絶対条件。この結果がでるのが、1年間のチャレンジショップなので、結果がでるよう頑張りたい」と仰っていました。
将来的には、農業やグループホームも!
近隣の方に親しまれる、うどん専門店を目指されているそうですが、
将来的には、ここから多くの雇用を生み、野菜を作る農業や、生活の場も支えるグループホームも空き家を活用して行っていきたいそうです。
そして、A型B型での就労形態にとらわれずに、広い目で「障がい者の就労へ向けたステップの場」として事業を行っていきたい、という抱負を語ってくれました。
食べていることが社会貢献に
「(私が接してきた障がい者は)みんな真面目です。私からすると、絶対の信頼をおける。これをやって、と言ったら絶対に裏切らない自信がある。それを顔が見えるカタチでお客様へ伝えたい」
とビジネスの強みを位置づけています。純粋なビジネスとして、成功モデルをつくりアイディアを膨らませ、花を咲かせていただきたいと、交流会では感想もいただきました。